事例紹介

新名所「ところざわサクラタウン」と連携!~コロナ禍における所沢市のインバウンドプロモーションの取り組み~

 

2020年11月、埼玉県所沢市に誕生した「ところざわサクラタウン」―アニメ文化などのポップカルチャー発信拠点となる大型複合施設―。オープンの機を捉え、同市はところざわサクラタウンと連携した市内の魅力発信事業を実施しました(自治体国際化協会(以下、クレア)の「経済活動助成事業」[i]を活用)。コロナ禍でのインバウンドプロモーションについて模索する自治体も多いなか、同市はどのようなインバウンドプロモーションに取り組んだのでしょうか。今回は、所沢市産業経済部商業観光課に取材した内容をご紹介します。

 

 

所沢に誕生した新名所! 「ところざわサクラタウン」

 

ところざわサクラタウンは、株式会社KADOKAWA(以下、KADOKAWA)が運営する、アニメ文化などのポップカルチャーを発信する大型複合施設です。その規模は日本最大級で、図書館・美術館・博物館が融合したミュージアム、KADOKAWAのオフィスや工場、アニメやゲームとコラボしたホテル、屋内外のイベントスペース、神社、ショップ、レストランなどの様々な施設があります。

 

 

 

雑誌「Taipei Walker」のところざわサクラタウン紹介ページ
(KADAKAWAによる掲載)

 

 

アニメ聖地への訪問客をターゲットに、ところざわサクラタウンと連携し所沢の多彩な魅力を発信

 

所沢市とKADOKAWAは、自然・文化・産業が調和した魅力ある地域づくりを共同で進めていくために、2017年に「COOL JAPAN FOREST構想の推進に関する協定」を締結しました。この「COOL JAPAN FOREST構想」[ii]の発信拠点施設として、ところざわサクラタウンが2020年11月にオープンしました。世界的にも人気な日本のアニメ文化の発信地だけに、海外からも注目を集める、新たな所沢の魅力の誕生と言えます。そこでは、アニメ文化の発信だけではなく、現在まで受け継いできた所沢のみどり、文化、歴史といった多彩な魅力を、オープンの機会に併せて海外にも発信することになりました。

一般社団法人アニメツーリズム協会が選ぶ「アニメ聖地88」[iii]の「1番札所」にところざわサクラタウンが選定されたこともあり、アニメ聖地巡礼を好む傾向がある国として、台湾・香港・中国をプロモーションのターゲットとしました。

 

 

——-雑誌「Taipei Walker」の表紙

———————————-所沢の多彩な魅力を紹介するページ
—————————————(雑誌「Taipei Walker」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑誌やウェブサイトでの情報発信や旅行博出展などによるインバウンドプロモーション

 

当初は、香港ブックフェアへの出展やインフルエンサー・旅行会社などを招聘して雑誌・デジタルによる海外向け情報発信を行う予定でしたが、コロナが収束せず、中止や見直しを余儀なくされました。そうしたなかでも、実施可能な手段によりところざわサクラタウンや所沢の多彩な魅力のPRに取り組みました。

具体的には、台湾で発行される雑誌やWEB記事で紹介するとともに、台北国際旅行博へ出展して現地でもPRを行いました。また、魅力を紹介する動画の制作に当たっては、海外からインフルエンサーを招聘することができなかったので、代わりに国内在住の日本人レポーターを起用しました。動画は4つのテーマ(ダイジェスト・自然・スポット・グルメ)毎に制作し、台湾・香港・中国向けにWEBサイトやSNSで配信しました。今回、日本人のレポーターを起用し、字幕により3ヵ国語の多言語化対応としましたが、字幕により、追加で言語を増やすことができるので、結果として今後のプロモーションに活用できるPR素材を作ることができました。

 

 

台北国際旅行博(2020年10~11月)の出展ブース
手前のモニターで魅力紹介動画を放映している。

 

 

「所沢の豊かなみどり」紹介動画制作の裏側 ≫

環境保全の啓発の要素も散りばめたPR動画に

4つの魅力紹介動画のうち1つは、「トトロの森」[iv]や狭山湖など、所沢の豊かな自然を紹介しています。この動画制作に当たって、保全活動を行う関係団体との協議の中で、視聴者の視点だけでなく、環境保全団体の想いも伝わるような内容にすることを意識しました。トトロの森や周辺の自然の素晴らしさをアピールするだけでなく、地元の人たちが大切に受け継いできた所沢の美しい自然を、訪れる人にも大切に思ってもらいたいからです。レポーターの台詞を考えるに当たり、トトロの森の魅力を伝えつつ、いかに環境保全の大切さも伝えられるかを意識し、環境と観光のバランスに試行錯誤しました。

 

旅行者が”旅マエ”にあると助かる現地情報を盛り込む

トトロの森に訪れる多くの方は最寄り駅から歩いて来られますが、近隣住民からは「駅からの道順が分かりづらいのではないか」との声が寄せられていました。そこで、「道案内」や「トイレ」の案内を紹介動画に盛り込むことにし、旅マエの情報発信として来訪時の様子をイメージしやすいようにしました。

 

 

旅行博でのフィードバックから「グルメ×体験型」の観光コンテンツに可能性を感じた

 

台北国際旅行博では、今後のコンテンツ作りの参考とするため、「どのような体験ができたら、所沢に来たいと思いますか?」というアンケートを行ったところ、地元の名産品である焼だんごづくり体験や手打ちうどん作り体験に多くの票が集まりました。体験型コンテンツ、また、グルメというトピックは外国から訪れる方の興味が高く、インバウンド向け観光コンテンツを今後さらに増やしていきたい所沢市としては、グルメと体験型の組み合わせは魅力を増やす1つの可能性であると感じました。

 

 

継続的な情報発信により、アフターコロナのインバウンド需要獲得を狙う

 

アフターコロナのインバウンド需要を確実に取り込むためには、継続的なプロモーションが必要であると考えます。インバウンドプロモーションは、令和2年度から始めたばかりの取り組みのため、今後も引き続き、まずは所沢市の認知度を上げるような施策を実施する予定です。令和3年度は、Webサイトを使った情報発信、令和2年度に作成した所沢魅力紹介動画4本の英訳の作成、台北国際旅展への出展を予定しています。

 

 

(おわりに)コロナ禍でのインバウンドプロモーションについて模索している自治体も多くあるかと思いますが、実際にコロナ禍でプロモーションを実施してみていかがでしたか。

 

所沢魅力紹介動画の制作にあたって日本人レポーターを起用したことは、新型コロナウイルス感染症の感染状況に左右されずに制作できたという点だけでなく、音声が日本語であるために、紹介したお店や施設の方にもご覧いただき、地元の方々に地元のことを理解してもらうことができたことは良い副次効果となりました。

コロナ禍では関係者にインバウンドプロモーションへの理解が得られにくい状況ではありますが、地元の方々に理解をしてもらいつつも、今のうちに準備を進め、将来的なインバウンド需要の獲得につなげていきたいと考えています。

 

 

(経済交流課 清水)

 

 

[i] 「経済活動助成事業」

クレアの助成事業。地方自治体の海外販路開拓事業や海外観光客誘致(インバウンド)事業などの海外展開の要素を含む事業に対し、支援を行っている。http://economy.clair.or.jp/activity/grant/

 

[ii] 「COOL JAPAN FOREST 構想」

所沢市とKADOKAWAが共同プロジェクトとして取り組んでいる、文化と自然が共生した、誰もが「住んでみたい」「訪れてみたい」地域づくりを進める構想。

https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/shiseijoho/cjf/index.html

 

[iii] 「アニメ聖地88」

一般社団法人アニメツーリズム協会が国内外のアニメファンを対象とした投票結果をもとに選定する、「訪れてみたい日本のアニメ聖地。」

https://animetourism88.com/ja/88AnimeSpot

 

[iv] 「トトロの森」

狭山丘陵のトラスト取得地 。スタジオジブリ映画「となりのトトロ」の舞台のモデルの一つになったとされる。https://www.totoro.or.jp/index.html

 

 

 

印刷用PDFはこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Categories:事例紹介 | インバウンド | 関東・信越 | トピックス

Copyright © CLAIR All rights reserved.