事例紹介

JETプログラムの卒業生が海外目線でコアな日本文化を発信!

 現代の東京と江戸時代から続く文化と歴史が融合するまち日本橋。海外から東京にやって来た観光客にとって、浅草や銀座ほどポピュラーではない分、日本の文化に深い興味を持つリピーター層が多く訪れています。
 そんな日本橋エリアで海外からの観光客に日本をもっと知ってもらおうと働くのは、(商業施設COREDO室町(三井不動産)の館内にある)日本橋案内所・インターナショナル・コンシェルジュのローズさん。アメリカ出身のローズさんはJETプログラムの卒業生で2013年から3年間、岡山市の小中学校で外国語指導助手(ALT)として子供たちへ英語を教える仕事をしていました。
 今回は、日本橋案内所(株式会社スパートが運営)のローズさんと山本さんに日本橋エリアの近況およびローズさんの仕事内容について取材しました。

 

日本橋案内所で働くローズさん


■どこの国から来られる方が多いですか?

(山本さん) 個人のお客さんが多く、国籍は様々ですが、アジア圏と欧米圏の方がほぼ半々です。日本にはアジアから来られている方が圧倒的に多いと思いますが、それなのに半々ということは欧米から来られる方の割合が比較的多いのではないかと思います。

 

■日本橋エリアには海外から訪れる観光客は多いですか?

インタビューを受ける山本さん

(山本さん) 2010年に当案内所がオープンしたときには、海外からのお客さんはほとんどおらず、一月に英語を使うのがほんの数回でした。外国人コンシェルジュを採用し始めた2014年頃から、徐々に増えはじめて、一日の問い合わせも2桁以上になり、現在ではパッとみれば何人かいらっしゃるくらいに増加していて、この10年で急激に増えた実感はあります。

 とはいえ、日本橋エリアの認知度は正直そんなに高いと思いません。日本人から見れば日本らしい土地ですが、アルファベットで“NIHONBASHI”と書くと、海外の人には非常に覚えにくいのです。 やはり銀座みたいに「買い物」をという感じでも、浅草みたいに「観光」という感じでもない、どちらかと言うと歴史的な町並み、昔からの文化的なものを楽しみたいという知識欲のある方が来られます。 少しニッチなところを狙ってくるようなリピーターの方が日本橋に来られていると思います。ウェブサイトで当案内所を知って、訪れる方が多いです。ですので、こちらもそれに答えてあげられるようなプログラムを用意しています。

 

 

■ローズさんが、日本橋案内所で働こうと思ったきっかけは何ですか?

(ローズさん)自分と同じJETプログラムの先輩にこの仕事を紹介されたのがきっかけです。もともと国際交流に興味があって、日本語と英語を両方使ってお客様を助ける仕事をしたいと思っていました。外国語指導助手(ALT)終了後は、岡山外国語学園で1年半ほど日本語を勉強して、その後でここで働き始めました。

 

■ローズさんをはじめインターナショナル・コンシェルジュのみなさんの仕事はどのような内容ですか?

(山本さん)日本橋エリアのインフォメーションや、館内ツアーガイド、ワークショップ等の担当をしてもらっています。具体的には“OMOTENASHI NIHONBASHI”(※1)という日本文化体験コンテンツを訪日旅行客のみなさんに紹介するプログラムです。例えば “BEST OF JAPAN GOURMET TOUR”、“CLUTURE EXPERIENCE TOUR”というのは、彼女たちインターナショナル・コンシェルジュが、この館内をテーマに沿って英語で案内するツアーです。ローズさんも、やっとこの間デビューしたところですね。内容を覚えるのに3ヶ月くらいかかりますよ。

 

※1:日本文化体験のアクティビティ「Omotenashi Nihonbashi」は、 厳選された日本文化体験をこだわりの空間で食と芸能を総合的に楽しみ、 記憶に残る鮮やかなひと時を過ごすプログラム。

 

日本文化体験のアクティビティ「Omotenashi Nihinbashi」(公式HPより)

 

(山本さん)海外の方々が見たときに不自然な日本語とならないよう、パンフレットをネイティブの英語に直してもらったり、フェイスブックで週2、3回このエリアの旬の情報を発信してもらっています。これは、彼女たちの目線で見た良いものを伝えていってほしいと思い、ほとんど手を入れることはありません。

 また、日本人が考えたツアー内容に、「こういうのを見た方が海外の人が喜ぶ」という彼女たちの意見を取り入れることはよくあります。日本人が気づきにくいところで、なるほど、という発見が多々あります。 例えば、「中国の方はGOLDが好きだから金箔の店に連れて行った方が喜ばれる」とアドバイスをもらえば、普段英語で行うツアーを中国語で行うときだけ、(金箔の専門店「箔座日本橋」にお連れするなど)いつもと違う店に差し替えたりします。 また、芋けんぴ(スイートフライドポテト)(の専門店「芋屋金次郎」で)は、芋けんぴをコンシェルジュが自分で試食してきて「これをぜひ紹介したい!ポテトを見たらしょっぱいものだと思うけど、これは甘い。かなりギャップがあるからいいと思う!」というので紹介したりしました。

 
■この仕事をする上でのモチベーションは何ですか?

インタビューを受けるローズさん

(ローズさん)海外から来た人たちにも分かりやすく、英語で伝えるところなどがやりがいです。国際交流に興味があったし、他の人に役に立つというのがすごく大事だと思っているので、向いている仕事だと思ってやっています。

 まだまだツアーガイドとして勉強も必要で、日本橋・東京・江戸時代などしっかり勉強しなきゃいけないなと思いますね。今ガイドできるのは“CULTURE EXPERIENCE TOUR”(※2)だけなので、他のツアーについても、勉強したいです。自分なりに上手くできるように、と毎日感じています。これから頑張らないといけないですね。

 

※2:英語でコレド室町を中心に日本橋を堪能するウォーキングツアー。福徳神社でのお参り、コレド室町のショップでの見学・体験などをコンシェルジュが案内。Omotenashi Nihonbashi(※1)のうちの1コース。

 

 
■今後の課題があれば教えてください。

(山本さん)2020年に向けて海外からの観光客が急激に増えると思うので、今いる人員で対応しきれなくなることが課題です。

 日本人の語学力は他国に比べて優れていると言えないですよね。ここでも、外国人コンシェルジュがいる安心感で日本人スタッフも彼女たちに頼ってしまって、逆に学習しないという面はあります。今でこそ対応できているけれど、これが9割外国のお客さんとなった場合、外国人コンシェルジュに対応を全部お願いする、という訳にはいきませんので。日本人スタッフもある程度、海外からのお客さん対応ができるようにならなくては、と思っているところです。

 

福徳神社の説明をするローズさん

  • 日本橋案内所(営業時間…10:00~21:00)

 http://www.nihonbashi-tokyo.jp/information_center/

  • OMOTENASHI NIHONBASHI

 http://www.nihonbashi-info.jp/omotenashi/jp/index.html

  • アクセス

〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1 地下1階

☎ 03-3242-0010(日本語 10:00~21:00)

☎ 03-3242-2334(English 10:00~19:00)

(経済交流課 高山)

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