事例紹介

佐賀県のTVアニメ「ゾンビランドサガ」を活用した情報発信

 

 

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会

 

 佐賀県は「都道府県の魅力度ランキング2018」の魅力度ランキングが45位と低い県ではありますが、過去5年間「おそ松さん」、「スプラトゥーン」、「銀魂」、「ユーリ!!! on ICE」、「ロマンシングサガ」といったゲームや作品とコラボすることで、日本国内または海外から観光客を呼び込んでいます。

 特に去年放送されたTVアニメ「ゾンビランドサガ」はファンも多く、ネット上では「佐賀県に行ってみたい」とのコメントも多く見られます。アニメーションで描かれる世界を活用したPRや観光誘客に結び付けた佐賀県ならではの情報発信手法について、佐賀県広報広聴課の近野顕次さんと観光課の垣永美里さんにお話を聞いてきました。

 

■「ゾンビ」と「アイドル」と「佐賀」!このアニメーションって一体何ですか?

 ゾンビになった少女たちが佐賀を救うために、アイドルとして活躍する内容のTVアニメです。2018年10月から放送され、「アニメ総選挙2018年間大賞」を受賞、また、東京アニメアワードフェスティバル2019の「アニメオブザイヤー部門」TV部門で作品賞を受賞するなど、国内外の多くのアニメファンに反響があります。

 

■ゾンビランドサガ!すごいインパクトのあるタイトルですね。このアニメーションは県が制作したのですか?

 いいえ。2016年、佐賀県フィルムコミッションにゾンビランドサガ製作委員会から「佐賀県を舞台に、ゾンビとアイドルというコンセプトでアニメを作りたい」との相談がありました。製作委員会の中の一社である株式会社Cygamesの社長は佐賀県出身であるため佐賀県が舞台となったと聞いています。県はこれに対し、脚本の参考となるロケーションの提案・下見の同行など、協力を行いました。放送されてからは、県内にポスターを掲示したり、県広報誌にアニメの情報を掲載するなどの協力を行ってきました。また、佐賀の魅力をより多くの人々に知ってもらい、佐賀への誘客をはかるために、このアニメを活用した観光マップを作成するなどしました。現在、ゾンビランドサガの公式ツイッターフォロワー数は11.3万、「#ゾンビランドサガ」のツイート数は20万件を超えて、たくさんの人に愛されている作品であると感じています。アニメの続編制作が決定し、さらにこのアニメが盛り上がればと思っています。

 

■アニメーションの毎回のアイキャッチが佐賀の名産だったり、観光地だったり佐賀県一色であり、びっくりしました。

佐賀を代表する菓子である「さが錦」/Ⓒゾンビランドサガ製作委員会

 

  そうですね。県としても、佐賀の名産や観光地が多数登場しているため、佐賀の良いPRとなっており、大変ありがたく思っております。実際、アニメに登場した場所に訪れる“聖地巡礼”するファンも多く、佐賀の風景を自分の目で確かめ、主人公と同じポーズを撮ったりし、楽しんでいます。県ではそのようなファンのみなさまが、より佐賀を楽しむために、アニメの聖地巡礼を扱ったテレビ番組や観光マップの作成を行ってきました。

また、県内企業とアニメをコラボした商品が続々と発売され、非常に好評であると聞いています。

 

■「ゾンビランドサガ」を通して、佐賀県内の経済波及効果もあるとのことですね。

 「ゾンビランドサガ」は風前の灯火である佐賀を救うという内容であるため、佐賀に遊びに行き、宿泊したり、県産品を買うことが、佐賀の活性化につながり、結果、それが佐賀を救うという思いを持って、来てくれるファンの方々が多いように感じます。ファンのみなさまは、マナーも非常に良く、ありがたいことに佐賀での思い出をSNSで発信し、「佐賀県、よかった」「佐賀さいこう」などの良いコメントを書いていただいています。

 7月27日には、アニメにも登場した唐津市ふるさと会館アルピノで「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~in SAGA」という声優さんによるライブが開催されたのですが、その時にも多くのファンの方に佐賀県に来ていただきました。また、全国58の映画館とネットでの同時配信があり、声優さんたちが、佐賀県の良さを話してくれたので、県のよいPRとなりました。県の職員としては、大変嬉しいところです。

 

■近年の佐賀県のPR手法をみますと、アニメに集中しているようにも見えますが…

 そうですね。近年ではアニメとコラボすることが多いですね。佐賀県には魅力ある観光資源があるのですが、全国的にはまだまだ十分に知られていません。積極的に情報を発信して、多くの方に佐賀県のことを知ってもらう必要があると考えています。特にアニメは熱量のあるファンが多く、情報の拡散にもつながりやすいので、力を入れてきました。

 

■ゾンビランドサガのファンの方々が佐賀に足を運んでいるとのことですが、インバウンド面においてはどうですか?

 具体的に「ゾンビランドサガ」を起因としたインバウンド客の数値は出ていないのですが、台湾でも人気があり、台湾からのファンをよく見かけます。県庁の総合案内では、「ゾンビランドサガ」の問い合わせが多くなっており、2019年7月19日から佐賀県庁展望ホールで行っているプロジェクションマッピング「ゾンビナイトサガ」は、オープン以降1日の平均来場者数は約150人となっています(2019年8月20日時点)。佐賀県庁展望ホールのプロジェクションマッピングは、従来は無料で上映しておりましたが、今回の「ゾンビナイトサガ」から初めて有料化(小学生以上一律500円)したにも関わらず、これまで同様のご来場をいただいています。8月のお盆前後の期間(8月9日(金)~18日(日))は特に多くのご来場をいただき、この期間の来場者数だけで約2,300人となっています。台湾や韓国のお客様がお見えになることもあります。

 

佐賀県庁展望ホールのプロジェクションマッピング「ゾンビナイトサガ」

/Ⓒゾンビランドサガ製作委員会

 

■展望ホールのプロジェクションマッピングを観に行って、台湾の観光客に話を聞いて来ました。

その方も「ゾンビランドサガ」のロケ聖地巡礼をしているとのことでした。

 そうなんですね!9月には台湾の旅行会社が約30人のアニメファンを連れて、アニメの聖地巡礼のため、佐賀県に来る予定で、県内の「ゾンビランドサガ」の聖地も訪問される予定です。「ゾンビランドサガ」の主人公らがライブを行った「656広場」や、主人公らの住まいである「唐津市歴史民俗資料館」、「ゾンビランドサガ」のラッピング列車への乗車体験といった行程になっています。秋以降には、中国や東南アジアの旅行会社等にプロジェクションマッピングを視察していただく予定です。

 

■観光客はめったに行かないローカルな所ばかりですね。

 佐賀県は毎年夏休みシーズン(7月~9月)にスタンプラリーキャンペーンを行っていますが、今年はこのスタンプラリーを「ゾンビランドサガ」とコラボしたところ、応募ハガキ数は前年比約3倍に(前年7月末時点比)上がりました。スタンプラリー参加者からは「スタンプラリーがないと行かないような場所に行けてよかった」「また佐賀に行きたい」等のコメントをいただきました。また、「ゾンビランドサガ」の聖地である唐津歴史民俗資料館の特別公開日には1,000人以上のファンが集まりました。去年の公開日には2日で200人くらいでしたし、こんなに多くの人が来たのは初めてでした。

 

■ゾンビランドサガのようなアニメ作品を自治体が応援し、それを活用する手法は観光PRにも効果的だと思います。ただ、アニメコンテンツは一時的なものだと思いますが、今後の活用取組について教えてください。

 そうですね。映画にしてもドラマにしても、上映・放送が終われば、熱が落ちていくことが多いように感じます。しかし佐賀県にとっては、とてもラッキーなことに、「ゾンビランドサガ」は続編の制作が決定していますので、まだまだ熱が落ちていくということはないのではないかと思います。この作品が末永く続くよう、佐賀県としてできることがあれば、積極的に協力をしていきたいと考えています。そして製作委員会の協力を得ながら、今後も佐賀県のPRや観光誘客に活用させていただきたいと思います。

 また、「ゾンビランドサガ」については、佐賀の魅力が詰まったアニメとなっており、佐賀県民のみなさまが佐賀の魅力を再発見できる作品であると感じていますので、より多くの佐賀県民のみなさまにも知ってもらい、そして、ファンのみなさまが佐賀に遊びに来た際は声をかけるなど、自然とおもてなしができるような雰囲気を作っていきたいと思っています。

 

(経済交流課 キム)

 

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