事例紹介

佐賀県特設ECサイト「佐賀1万円ショップ」 ~コロナ禍において自治体が進める国内販路開拓~

 コロナ禍の外出自粛により、全国の飲食店や宿泊施設の需要が低迷したことに伴い、全国の農林水産業や食品製造業などでも売り上げが大きく落ち込みました。

 佐賀県の「さが県産品流通デザイン公社」(※)は、大きな打撃を受けた県内の生産者や事業者の支援と消費の喚起・拡大を目的として、佐賀の上質な特産品を1万円均一で購入できる特設ECサイト「佐賀1万円ショップ」を8月に立ち上げました。

 

※さが県産品流通デザイン公社:佐賀県産品を磨き上げ、付加価値を高めながら、その良さを伝え、生産者と消費者をつないでいくため、販路拡大及び海外市場の開拓など販売促進につながる支援に取り組む公益財団法人

 

 

「1万円」に設定した理由について、主催者の「さが県産品流通デザイン公社」の楢崎さんに伺いました。

 多くの自治体がECに力を入れている中、佐賀県は他自治体と差別化を図るために、より分かりやすく、目立たせることが大事であると思い、値段をあえて高めの1万円に設定しました。また、広告用のチラシは、佐賀のプレミアムなものを、100円ショップのような分かりやすさで覚えてもらいたいことから、某有名100円ショップのチラシを作っている会社に作成していただきました。 

                 100円ショップをイメージとして作ったチラシ

 

 消費者はモノを値段で覚える傾向があるため、安売りしてしまうとコロナ禍が終わった後、消費者と繋がらないと思い、長期的な視点から、佐賀県の生産者や事業者が全国の消費者と長く繋がることができるよう、あえて値段を1万円に設定しました。

 

 

〇有明海のエイリアンから1万枚に3枚しか採れない有明海の奇跡の海苔まで

 

                      ワラスボの丸干し

 

 有明海のエイリアンと呼ばれる珍魚「ワラスボ」の干物を始め、激レアの海苔や唐津のクエなどの珍しい商品も販売しました。これらは、高価格帯ながら3日間で完売しました。商品に関しては、これまで通販されておらず、一般の方々が買えなかったものを含め、当公社が選別してラインナップしました。

 

 

〇ユーチューバー、タニタ食堂もコラボで一万円ショップを応援

 他のECサイトと差をつけ、なるべく目立つようにするため、「YouTube Rewind 国内トップトレンド動画 2017」に選ばれた佐賀在住で登録者156万人超の釣りユーチューバー「釣りでよかでしょう。」とコラボレーションし、唐津・玄界灘での漁のレポート配信をしていただきました。このことも注目を集める一因となり、唐津のうに3種セットは5時間、クエは1時間で完売することになりました。

 その他、外出自粛で家にいる時間が増えたことから、コロナ太りを気にする方向けに、タニタ食堂からは、ヘルシーなレシピ付きの佐賀牛と金星佐賀豚をご用意いただきました。谷田社長は、大学時代を佐賀で過ごされ、佐賀への思い入れもひとおしなのだそうです。そのご縁もあり、今回「佐賀1万円ショップ」の趣旨に賛同し、コラボ商品を監修していただきました。目玉商品として企画した佐賀牛の1頭から5㎏しかとれない赤身の希少部位「トウガラシ」の塊肉は、50セットが1ヶ月で売り切れる等好評を博しました。

 

 

〇県内の生産者・事業者からの反応

 佐賀の県産品を手掛ける県内の生産者・事業者からは、「佐賀1万円ショップ」に出品したいという声が多く寄せられています。その理由として、好調な売れ行きだけでなく、「有田焼」と「佐賀酒」や「さがびより米」と「海苔」、「あじ茶漬け」といった県産品を組み合わせることで、事業者単独ではリーチできない新たな顧客を獲得できる“事業者同士のコラボレーション”が大きな魅力となっているからです。

 唐津市にある人口40人の離島・松島で漁を営む事業者には「新型コロナの影響で出荷量や価格が落ちて試行錯誤をしている中、佐賀1万円ショップに参画したことで新たなお客様を得ることができ、他の商品の売り上げにも繋がりました。」と本取り組みの効果を実感していただいています。また、オリンピックのような大型イベントの延期等により、大きな打撃を受けた佐賀牛の事業者からは「来客の激減に伴い、飲食店部門の方でも深刻な影響を受けています。先行き不安な状況ですが、和牛消費を外食から家庭内への転換を図ろうとECサイトに力を入れてきているところです。今回の『佐賀1万円ショップ』を機に多くの方に佐賀牛の魅力にふれていただき、佐賀牛ファン習得につながればと期待しています。」というコメントもいただきました。

 今後も消費者の心をくすぐり続けるため、様々な工夫をしていく予定です。12月からは、季節に応じた「鍋」と「鍋の〆パフェ」をテーマとし、コロナ禍こそ家で楽しむことができるように冬の食材、物をラインナップしています。

 

 

 コロナ禍であっても取り組むことができるECサイトでの販路開拓を通して佐賀の県産品を紹介し、認知度を上げることによって、コロナ禍以降にもしっかり県内の生産者・事業者を支えていくことができるようにしていきたいと担当者は言います。これからも県内の生産者・事業者をECサイトで支えることによって、今後海外へのさらなるターゲットが広がるかも知れません。 

 

 

 

    (経済交流課 キム)

 

※印刷用PDFはこちら

 

Categories:事例紹介 | 海外販路開拓 | 九州・沖縄 | トピックス

Copyright © CLAIR All rights reserved.