海外、とりわけ東南アジアにおける日本産米需要は確実に伸びています。さらに拡大するには、インバウンドとの相乗効果、日本産米におけるステイタスと共感を得るためのストーリー展開、そして相手国の食文化を理解した上でのおいしい食べ方の提案などが不可欠となってきます。
和テンション(株)では、訪日プロモーションの自社メディア発行事業の他、海外における展示会出展サポート、市場調査などを行っていますが、ここ数年は既存の展示会やイベント出展サポート以外に、日本関連の現地イベントを主催する機会を作っており、今年はじめて日本産米100%のイベント“DIYどんぶりレボリューション”を主催・開催いたしました。そのレポートをもって、このコラムの最終号としたいと思います。
■アッパーミドル層の参加が3日間で1万5千人も
10月19~21日の3日間、シンガポールのマリーナスクエアにおいて、弊社は農林水産省後援による100%日本産米を主役としたイベント“どんぶりレボリューション”を主催・開催させていただきました。
<イベント詳細>
http://waon.com.sg/wp-content/uploads/2018/10/日本語プレスリリース最新.pdf
日本産米のイベントは過去何度となく行われてきましたが、日本産米のご飯と、それに合う自分の好きなおかず(トッピング)を購入し、自分好みのDIYどんぶりを作る(日本で言うと勝手丼のようなイメージ)というエンターテイメント性のある一般向けのイベントは、シンガポール初、東南アジア初となります。
開催場所であるマリーナスクエアは、大規模な国際会議場やコンベンションセンター、パンパシフックホテル、マリーナマンダリン、オリエンタルホテルなど国際的な大型ホテルが集約する中心にあるSCで、週末になるとアッパーミドル層のシンガポール人の家族連れが買い物などの訪れる場所です。
またシンガポール人以外にも世界中から観光客、国際会議に参加する外国人も多数訪れる場所です。オープニングイベントで、記者会見を行いましたので、地元有名華字新聞やヤフーシンガポールなどに取り上げられたこともあり、来館者数は3日間で13万人(マリーナスクエア発表)、どんぶりイベント参加者は1万5,000人、実際に出たどんぶりの数は約8,000杯という大盛況に終わることができました。
■イベント内容の紹介
どんぶりレボリューションでは、イベントのエントランスにライスステーションを設置し、温かたい日本産米のご飯をどんぶり1杯2ドルで提供しましたが、事前に個人情報を登録しアンケートに答えてくれると1杯無料で提供されます。その後どんぶりを受け取ったお客さんは、トッピングブースに出展をしている飲食店の中から好きなトッピングを購入し、思い思いのDo it yourself 自己流どんぶりを完成させ、その場で食べたりオフィスや自宅に持って帰って食べたりするというスタイルです。
トッピングは、地元人気店の「てっぺい」「銀座天丼いつき」など5店舗が、うな玉、ステーキ、カレー、日本の卵、天ぷらなどを提供したほか、「島田製麺食堂」が神戸牛のローストビーフ丼を提供しました。連日、長蛇の列が出来、予想していたよりも料理が多く出てしまい、追加の食材を調達に走る店舗も複数出たほどの賑わいでした。
その他、日本酒やライスビール、ラムネなど日本の飲料を販売する「IPPIN」、日本産米を販売する「Think Rice」、そしてJNTOも家族旅行をターゲットにした訪日プロモーションのために出展。1日1回弊社スタッフと来館者による餅つき大会、さらにABCクッキングによるプチクッキングスクール、日立によるオーブンレンジや炊飯器使い方デモンストレーションなども行われ、ちょっとした日本のお祭りのようなイベントになり、来館者の多くから次の開催を望まれ、日本産米、日本食のシンガポールにおける評価の高さ、浸透度がうかがわれます。
■確実に日本産米は浸透している!
Think Riceブースでは、通常価格の20%オフにしたこともあり3日間で1トン近くのお米を即売。購入者に購入動機を聞いてみたところ、「以前日本に旅行をして日本のご飯の美味しさに感動した。他のご飯とは別物。通常のジャポニカ米の3〜4倍するが20%オフならば」とまとめ買いする人や「日本のお米は本当に美味しい。外食すると高くつくので家で食べている」という人が多かったようです。基本的に自宅では料理しないシンガポール人ですが、美味しいものを気軽に食べるという目的のため自宅で炊飯するというのも、食いしん坊のシンガポール人らしいなと思います。
日本産米輸出高は香港に次いで世界第2位というシンガポールですが、まだまだ日本産米の需要は伸びていく可能性を感じます。さらに需要を拡大するためには、彼らの嗜好に合わせた「おかず」や「副菜」の提案や体験を増やしてあげることだと思います。
どんぶりを楽しむ来場者にアンケートを実施し、3日間800名を回収いたしましたが、その多くには「オーセンティックな日本食を食べられるのがうれしい」「次は日本のローカルグルメのイベントをやって欲しい」という意見が多数を占めており、日本食への興味関心度の高さが現れた結果となりました。
アンケート結果は現在集計と日本語訳を進めており、近く弊社クライアントに提供する予定です。
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(執筆者)
クレア プロモーションアドバイザー
和テンション株式会社代表取締役
鈴木 康子