事例紹介

JETプログラムの卒業生が地方の観光協会で活躍!

 地方の観光協会で勤務するJETプログラムの卒業生がいます。2018年の4月から青森県黒石市の観光協会に勤務するのは、イアン・ハミルトンさん。同市の教育委員会に外国語指導助手(ALT)として勤務し、今では流暢な津軽弁も話すイアンさんは黒石市のインバウンド観光客対応の要です。

 今回は、(一社)黒石観光協会のイアンさんに仕事内容について取材しました。

 

 

■まず、これまでの経緯について教えてください。

勤務中のイアンさんの様子

 2012年の8月にALTとして黒石市を初めて訪れました。5月に配属先が決まり、黒石市の名前を聞いたのですが、最初はどのようなところか分からなかったです。ただ、日本の伝統的な音楽に興味があり、実は2008年に津軽三味線のCDを購入していました。後々になり、黒石市があの津軽なのだと知りました。

 黒石市は、地域柄もあり、外国に疎いと感じましたが、ALTとして勤務していた時に、英語を子供たちに指導するにつれ、アメリカに行ってみたいと言ってくれた子供たちがいたことが嬉しかったです。そのような子供たちが、将来、外国人の観光客が増えてきた時に、頑張ってほしいと思います。

 

 

■どのようなお仕事をしていますか?

 ALTとしての勤務の終了後も津軽地方に残り、2018年の4月から黒石観光協会に勤務をスタートしました。

窓口を訪れた方に対応している様子

 現在は、協会の英語版のHPを作成中です。もちろん、国内、国外に関わらず窓口を訪問した人の対応も行っています。市内の温泉や、紅葉時期には紅葉の見どころの「中野紅葉山」へどうやって行けばいいかと聞きに来る人が多いので、移動方法を教えています。その他にも、夏のねぷたや流し踊りの「黒石よされ」の時期には、お祭りの時間までの見どころとして、「日本の道百選」にも選ばれた、藩政時代から残っているアーケード状の通路で有名な「中町こみせ通り」を案内しています。

 協会に勤務する前ですが、関東の大学に留学している留学生が、インバウンド勉強会で黒石市を訪れたことがあります。その時は、津軽三味線を演奏したり、彼らの通訳をしたりしました。

 外国人の旅行者からの要請で、市外にも津軽三味線を演奏しに行くこともあります。青森港に寄港したダイヤモンド・プリセンスに乗船していたクルーズ旅行者にも演奏しに行ったこともあります。彼らの反応としては、「感動した」、「外国人でも三味線を演奏できるのか」というプラスの反応もあったが、「日本の文化だから、日本人に演奏してほしかった」という声も聞こえました。

 

 

■津軽弁や津軽三味線はどうやって学んできましたか?

 大学に在籍中から日本語を勉強していました。その時も言語学や方言について気になっていました。実際に黒石市に来てみると、最初は津軽弁が全く分からなかったです。笑いながら、「そうですね」と相槌しかできないこともありました。しかし、地域の人と触れるにつれ、次第に津軽弁を理解できるようになり、2015年に行われた、青森県内で行われた津軽弁大会の外国人の部で優勝することができました。その時は、津軽弁でのスピーチと津軽三味線を演奏しました。

 津軽三味線は2012年の10月からスタートしました。師匠に何度も勉強したいと連絡し、ようやくOKをもらいました。それと同時にもっと津軽弁も覚えたくなりました。京都の舞妓さんが京都弁を話し、舞をするように、津軽弁を話し津軽三味線を演奏できるようになりたくなりました。

 2013年の黒石こみせ祭りに出演し、人前で初めて演奏しました。その後も、師匠と一緒に市の祭りのステージやイベントで演奏を行ったりもしています。

りんご畑を背景に津軽三味線を演奏するイアンさん

 

 

■これからの黒石市について一言お願いします。

津軽弁で説明してくれたイアンさん

 インバウンドでは、コミュニケーションがとれることが重要です。

 外国人からは津軽三味線の歴史を聞かれることもあります。津軽三味線に限らず、歴史を教えることができる人が増えればいいと思います。インバウンドでは、目に見えるところだけではなく歴史を教えることがとても大事です。

 留学生との話にもあがったが、メジャーな所ではない、本当の日本を体験できることが黒石市のいいところです。自然が残っていて、昔ながらの生活体験ができるところをもっとアピールすればいいと思います。日本人が実際にどのように生活をしているのかを知りたい人はいると思います。黒石市に来て、ここが本当の日本だなと感じてもらえるはずです。

2019年の3月には退職し、作家を目指す道に進みますが、津軽三味線も弾きたいですし、いずれまた黒石市には戻ってきます。

 

 

(経済交流課 髙橋)

 

 

 

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