世界はもちろん、日本でも知名度の低かった瀬戸内海のど真ん中にある香川県西部の小さなまち、三豊市で、世界に通用する地域資源を磨き、インバウンド誘客と地域の魅力的な資源を「面」にして、地域経済を活性化させる新たな挑戦が始まりました。

UDON HOUSE外観（提供：UDON HOUSE）

■UDON HOUSEについて

　世界でも認知度の高い「うどん」。有名チェーン店が続々と海外進出し、その味は世界各国で認められています。そのうどんの代表格である香川県の讃岐うどん。世界で戦える強力な地域資源であるうどんを活かそうと、本場の讃岐うどん作りが体験出来る宿泊施設「UDON HOUSE」が、2018年秋に誕生しました。JR本山駅から徒歩30秒の空き家をリノベーションし、うどんの聖地として誕生したUDON HOUSEは、地域に根付く讃岐うどんの文化を学びながら地域を楽しむ体験を提供しており、インバウンド（訪日外国人）もターゲットにしています。外国人を受け入れるために、三豊市内在住の多言語対応可能な外国人もスタッフとなり、体験を通して、うどんや地域の魅力をゲストに伝えていただいています。またHPも多言語化し、外国人の方も予約しやすい環境を整えています。　

　三豊市では、2016年度から地域商社づくり事業を行っていますが、その立ち上げに当たって様々な民間企業や団体と協働する中で、地域商社の枠組みと並行して、民間企業のスピード感を活かすために完全民間投資・民間運営の事業としてこの施設は誕生しました。

UDON HOUSE体験の様子（提供：UDON HOUSE）

■香川県三豊市について

　三豊市は2006年に旧7町が合併して誕生したまちで、穏やかな瀬戸内海と里山に囲まれ、豊かな自然と豊富な食材など、数多くの地域資源に恵まれています。

　これまで全国的には知名度の低かった三豊市ですが、今までと切り口を変えた情報発信をすることで、ウユニ塩湖のような幻想的な景色を楽しめる「父母ヶ浜（ちちぶがはま）」、瀬戸内海の多島美と桜の絶景が印象的な「紫雲出山（しうでやま）」などが国内外のメディアにとりあげられ、年々観光客が増えています。海外でも米国ニューヨークタイムズ、英国ガーディアンなどの著名なメディアに掲載され、注目されつつあります。また、設立して間もないUDON HOUSEについても、魅力的な食を通じた取り組みが海外で注目を集めており、CNN TRAVELやLONELY PLANETなどのメディアに掲載されています。

父母ヶ浜の夕景

■課題と今後の展望について

　確実に観光客が増えつつある三豊市ですが、急増した観光客に対し、地域で消費してもらう仕組みがまだ出来上がっておらず、特に宿泊施設の不足は、この地域にとって大きな課題となっています。この課題に対応するため、UDON HOUSEは体験型宿泊施設として、宿の機能を備えています。

　また、魅力的な地域資源や地域の面白い取組みはあるのですが、点在した状態で連携が出来ておらず、多くの地域資源が埋もれたままになっており、ターゲットとなる消費者にとって魅力的な形でそれらを繋いで「面」にして発信し、継続できる経済活動に結びつけることが求められています。 地域の魅力ある資源を選び出し、磨き上げ、繋ぎ合わせ、ターゲットを明確にして情報を発信し、地域で経済が回る仕組みを作っていく。今まで地域で課題となっていたことに対し、UDON HOUSEは1泊2日のうどんづくり体験ツアーの中に農園ツアーや瀬戸内アクティビティを取り入れるといった、新たな仕組みの構築に挑戦しています。地域を巻き込んだこの仕組みが確立出来れば、国内・海外ともに、消費者に対し満足度の高いコンテンツを提供し、継続した誘客を行うことができ、持続可能な経済循環に繋げられることが期待できます。

　魅力的な仕組みづくりやプロジェクトが立ち上がる一方で、今後の課題となるのは、それらに携わる「人」の育成と呼び込みです。より良い仕組みを作っていくためには、まだまだ人が足りません。魅力的な取り組みや、この地域で挑戦出来る可能性、穏やかな瀬戸内のライフスタイルなどの情報・価値を地域内外に発信し、この仕組み作りに携わっていく仲間を増やしていくことが重要だと考えています。

　今後も様々な媒体を通し、プロジェクトの情報を発信していきますので、新たな挑戦にご興味を持たれた方は、是非チェックしてみてください。

UDON HOUSE体験の様子（提供：UDON HOUSE）

（香川県三豊市役所　政策部　産業観光課　倉本明佳）

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