事例紹介

長門市の美しい海辺に赤い鳥居が並ぶ鮮烈な写真、元乃隅稲成神社が大ブレイク

CNNで紹介されたことがきっかけで、注目を集めるようになった山口県長門市にある元乃隅稲成神社。さらにSNS等の口コミによっても人気が上昇。インスタ映えする赤い鳥居と海とのコントラストが鮮やかだ。これをきっかけに長門市の観光戦略が大きく変わった。

元乃隅稲成神社の赤い鳥居と青い空と海、緑の丘のコントラストが美しい

元乃隅稲成神社の赤い鳥居と青い空と海、緑の丘のコントラストが美しい

ポイント

・CNNの日本の最も美しい場所31選の一つになったことがきっかけで注目を増す
・インスタグラムでの人気によって日本人を含め旅行者が急増
・元乃隅稲成神社をメインに据えたプロモーションへシフト


 ■参拝者が3年で32倍と人気が急上昇した元乃隅稲成神社

元乃隅稲成(もとのすみいなり)神社への参拝者が、ここ数年で急増している。
長門市の観光課にうかがうと、きっかけは、2015年の3月にアメリカのニュース専門放送局CNN(Cable News Network)社の発表する「日本の最も美しい場所31選」に選ばれ、インターネット記事に掲載されたことだったと話す。
同課によると、その後に海外・国内のメディアから後追いで取材が入り、国内外の情報番組で何度か取り上げられたという。さらに、それらの番組やインターネット記事、実際に訪れた観光客の口コミやSNSによって世界中に広まり、観光客が急増した。実際、きっかけとなったというCNNがターゲットにしている欧米圏よりもアジアから訪れる観光客が伸びているのだと言う。
2017年11月には観光振興に多大な活力を与えたとして、CNN社に対して感謝を込めて長門市長特別表彰を送っている。

長門市の統計調査によると、CNNに紹介される前の2014年は参拝者が約2万5千人(日本人・外国人混在)だったものが、2015年は約7万5千人と3倍になり、さらに翌年の2016年には約53万人に跳ね上がった。2017年は100万人を超え、わずか3年で約40倍となった。市の担当者によると、外国人旅行者の姿も以前より多く目にするようになったとのことだ。

■インスタ映えの景色が観光客を引きつける

赤い鳥居をくぐって丘の上の拝殿に向かっていく

赤い鳥居をくぐって丘の上の拝殿に向かっていく

その他、口コミが広がったことも影響がある。
この神社の景色は、今、急速に人気を伸ばしているインスタグラムとの相性が良いのだ。

ユーキャン新語・流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれるほど、昨今では個性的な被写体が求められていて、この元乃隅稲成神社はマッチするのだ。真っ赤な鳥居が幾重にも並び、背景の青い海と青い空、そして岩場の上には緑が茂る。赤、青、緑のコントラストが美しく、独特な世界観が醸し出されていて、訪れた者がつい写真を撮りたくなる風景だ。

撮った写真はその場でインスタグラムに投稿される。投稿された写真の中には本当に美しく撮られたものもあり、その角度やフォルムなどは市の観光課でも参考になるほどだという。

この元乃隅稲成神社は、建立が比較的新しく、白狐のお告げにより1955年に島根県津和野町太鼓谷稲成神社から分霊された神社だと伝わっている。
神社へは海辺から高台に向かって続く123基の赤い鳥居をくぐって登り、丘の中腹に本殿がある。
見どころの一つが、本殿近くの大鳥居の上に設置された賽銭箱である。鳥居の上部、高さ5メートルに設置された賽銭箱へ賽銭を投げ上げ、入れば願いが叶うと言われている。ほとんどの参拝者は、1回では賽銭箱に入らず、まるで玉入れ競争のように何度も投げ上げる。ちょっとしたアトラクションのような楽しさも、人気の理由だろう。

約5メートルある賽銭箱にお金を投げ上げる

約5メートルある賽銭箱にお金を投げ上げる

神社が賽銭箱からお金を取り出す際に、市の担当者が立ち会ったところ、外国のコインが約650枚あった。確認したところ、25の国と地域から来ていたことがわかった。一番多いのは韓国のウォンで、次にタイのバーツだったそうだ。

 

■大ブレイクを契機に他の観光地との連携も探る

長門市では、このように元乃隅稲成神社が大ブレイクしたのをきっかけとして、2016年から元乃隅稲成神社をメインに据えたものへ観光戦略を転換した。長門市を知らなくても、元乃隅稲成神社の写真を見たことがある人が増え、ここを訪れるきっかけになればと考えたのだ。

レトロな雰囲気がある長門湯本温泉にも観光客を呼び込みたい

レトロな雰囲気がある長門湯本温泉にも観光客を呼び込みたい

まずは、パンフレットを大幅にリニューアルして元乃隅稲成神社をメインビジュアルに据え、日本語のほか、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語の多言語で作成した。また、WEBサイトも同じように多言語対応とし、さらに神社にも多言語の神社案内を置くようになった。元乃隅稲成神社をきっかけとして、長門市の豊富にある観光素材を知って欲しいという思いが実り、結果として外国人旅行者が手に取ってもらえる機会が増えたと担当者は言う。

長門市としては、前述のとおり、観光客に他の名所にも足を運んでもらいたいと考えている。市内には長門湯本温泉など5箇所の温泉地があり、さらに市内に多く存在する焼鳥屋も訴求ポイントだという。長門市は人口1万人あたりの焼鳥店舗数がトップクラスであり、焼鳥の街として盛り上げたいと考えていて、訪日外国人向けにも神社の近くのショップには市内の焼鳥屋を紹介した観光マップを置いて宣伝している。

焼き鳥屋の町として、今後は外国人にもアピールをしていく

焼き鳥屋の町として、今後は外国人にもアピールをしていく

一方で長門市は、インバウンド観光を市単独で盛り上げるのは難しいと考えていて、県内市町との連携を重視している。いくら元乃隅稲成神社が人気になろうとも、ピンポイントで海外から来るわけではないからだ。県内をどのようなルートで旅行するかの動線も想定する必要がある。
山口県では、東アジアに力を入れたプロモーション活動をしていて、山口宇部空港に台湾からのチャーター便が飛ぶようになった。
また、県内の角島大橋、さらに萩市や秋吉台など、見どころを組み合わせて、海外にアピールできる。今後、山口県のインバウンドが元乃隅稲成神社を糸口として盛り上がることを期待したい。

 

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/

Categories:インバウンド | トピックス | 中国・四国

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