事例紹介

城崎温泉の一極集中からエリア展開へ、データ解析で次のフェーズへ!

柳並木の続く北柳通りは、外湯めぐりや街歩きの外国人がいる

柳並木の続く北柳通りは、外湯めぐりや街歩きの外国人がいる

兵庫県豊岡市は城崎温泉というキラーコンテンツを前面に押し出し、ここ数年欧米豪のマーケットに向けた取り組みをしてきた。その成果があがり、わずか4年で外国人宿泊数30倍という驚異の伸びを示した。さらなる高みを目指しDMOを設立し、データに基づいたマーケティングを目指している。

 

ポイント:

・和風の温泉街が欧米人に受け入れられたが、次はいかに宿泊数を伸ばすかが課題
・次を見据え、データを重視し、顧客ニーズを把握することが重要

■城崎温泉に宿泊する外国人の数が4年で30倍に!?

兵庫県の日本海側にある温泉地、城崎温泉が外国人観光客に人気のエリアとなっている。
古い温泉旅館が立ち並び、浴衣姿で外湯めぐりをする観光客がそぞろ歩きをしていて、日本的な情緒がある。

城崎温泉のど真ん中、温泉街の中心にある外湯が一の湯

城崎温泉のど真ん中、温泉街の中心にある外湯が一の湯

外国人宿泊数は、2011年は1,118人泊だったが、2015年は31,442人泊と急激に増加した。わずか4年で30倍の伸びとなったのだ。内訳をみると、欧米豪からの観光客が33.4%という高いシェアを占めている。

城崎温泉がある豊岡市によると、市としてインバウンドに力を入れ始めたのは、2013年からだったという。それまでは、ちらほらと見かける程度の自然増という状態だった。

当時、取り組んだ内容としては、まずは体制整備がある。2013年に国内外の観光客誘致を担う「大交流課」を設置した。旅行会社からの出向者をその機会に迎えるなど、民間の力を取り入れることが加速した。もともと、副市長が民間からの公募の方ということもあって、民間活用には前向きな地域なのだ。

しかし、まさか当時は、30倍になるとまでは思わなかったそうだ。そこで理由をリサーチしたところ、一つは、海外の旅行ガイド『ロンリープラネット』で「Best Onsen Town」として紹介されたことが大きな契機だったとわかってきたという。伝統的な温泉旅館が並び、浴衣姿が行き交う情緒ある温泉の町として紹介された。もともとのエキゾチックな観光素材の魅力が、編集者の目にとまったのだ。

木屋町小路には風情があるお店が軒を連ねている

木屋町小路には風情があるお店が軒を連ねている

そしてもう一つは、欧米豪の個人客をメインターゲットとする戦略が功を奏したのだ。
豊岡市はもともと中小規模の旅館が多く、団体客を受け入れられる大規模旅館は少ない。そのため、個人旅行のシェアが高い欧米豪の個人客を狙うことにしたのだ。

施策としては、海外旅行博「WTM」への参加、宿泊予約サイト「Visit Kinosaki」の運営、フリーWi-Fiの整備、Wi-Fiユーザーの行動分析、観光案内所の運営等を行った。また、パリに現地窓口を置き欧州目線で編集された情報発信等を行ったり、ミラノ万博へ参加したりした。

■豊岡市のインバウンドは更なる高みを目指し、回遊型観光への仕組みづくりを進める

さらに豊岡市は、2016年に、インバウンドにより重点をおくことになった。2020年には10万人泊のインバウンド観光都市を目指す。
この目標達成のためには、現在の平均1.4泊からさらに伸ばす必要があり、そのためには、市内を回遊してもらうことが重要だと考えた。そこで、基本的には、これまで通り城崎温泉に泊まってもらうものの、併せて近隣も回ってもらう仕組みづくりを始めた。つまり、城崎温泉の一極集中戦略から次のフェーズに移ったのだ。

豊岡市は、温泉以外の魅力も少なくない。コウノトリの野生復活に成功させた地域としても有名で、城下町の出石等、城崎温泉だけではできなかった体験を提供できるところもある。また鞄の産地として有名で、ユニークなデザインのものも数多くある。

このようにコンテンツは揃っているものの、いかに回遊してもらうかが、今後の課題である。
その戦略を担うのが、2016年6月に誕生した豊岡DMO(※1)だ。

※1:構成主体は、豊岡市、地元金融機関の但馬銀行、但馬信用金庫、地元のバス会社の全但バス、ピンクの高速バスで有名なウィラーグループが豊岡市内に新しく作ったウィラーコーポレーション。行政と民間企業が結集した。

豊岡DMOは2016年6月に設立して官民が一体となる

豊岡DMOは2016年6月に設立して官民が一体となる

豊岡DMOでは、市の基本戦略を踏襲し、具体的なアクションの1つとして、旅行業を取得して商品づくりを進めた。メインターゲットは欧米豪+アジア富裕層で、web予約による集客を目指す。個人でゆったり滞在し、地域の文化に関心を持つ人々を想定した。

■データの収集をして、商品開発につなげる取り組みがスタートした

実際に旅行商品として近隣の観光コンテンツを販売していく上で重要なことは、データを重視し、顧客を理解することだと、豊岡DMOの経営管理部の川角洋祐氏は言う。
現在、最も力を入れているのが、フリーWi-Fiの利用者による行動分析だ。登録する際に利用者の属性をとり、滞在期間中に、どの場所へ行ったか分かるようにしている。国別や年代別によるニーズが見えてくるのだ。

一方で、豊岡市では、半世紀以上にわたってコウノトリ野生復帰の取り組みが続けられていて、今では100羽近くが市内に生息している。
そして、DMOでは、この野生のコウノトリを観察する外国人観光客の取り込みを進めようとしている。まずは着地型ツアーの販売を始めた。DMOが運営するwebサイトで予約が可能だ。
http://visitkinosaki.com/
このツアーは、現在まだ日本人観光客に向けてしかやってないが、コウノトリを観察に来られた人に、ヒアリングを実施している。どういった目的で、どうして知ったかなど、データの収集を進めているのだ。今後は、外国人向けのヒアリングも検討していて、しっかりとデータを積み重ねていきたいと言う。

復活に成功したコウノトリは、今後の観光コンテンツに!

復活に成功したコウノトリは、今後の観光コンテンツに!

観光客に市内を回遊してもらうため、顧客のニーズを理解し、ニーズにあったものをいかに作っていくかがカギとなるだろう。そのためのデータ収集という地道な積み重ねが始まったばかりだ。

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/

 

 

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