信州長野の風土や気候を存分に活用し、創業から80余年、「醸造は芸術なり」を信条に味噌づくりを続けてきた(株)マルモ青木味噌醤油醸造場。同社は「原料」「生味噌」「発酵熟成」「衛生環境」と、製法だけでなく原料にまで徹底的にこだわる会社として業界内でも評価されています。
海外展開にも積極的に取り組んでいて、クレアの日本ふるさと名産食品展にも出展経験のある同社執行役員海外事業部の青木啓吉部長にお話を伺いました。
お話を伺った青木部長
1 株式会社マルモ青木味噌醤油醸造場について
■御社についてご紹介いただけますか。
「来年で創業100年を迎えますが、味噌屋としては歴史が短い後発組です。味噌全体の売上は落ちているにも関わらず、弊社の売上は伸びています。海外に進出していることも売上が上がっている一因だと考えています。
弊社の味噌はだし入り味噌ではなく、醸造期間の長さと無添加・無殺菌の昔ながらの作り方にこだわっているのが特徴で、特に有機玄米を使った商品の売上が高いです。」
同社自慢の有機玄米味噌
2 海外展開の動機、戦略
■何がきっかけで海外展開に取り組まれたのですか。
「きっかけは、日本の人口が減ってきたことです。
海外展開については『すぐに売れなくても、続けることに意味がある。10年後、20年後を見据えて、いつか主要な海外で商品が陳列されれば』という考えで取り組むことを決めました。
当初は全世界をターゲットにしていましたが、展開していくうちに、健康に気を遣う人が多いアメリカやヨーロッパにターゲットを絞っていきました。この市場は全体としてはそれほど大きくありませんが、オーガニックマーケットの比率が高いんです。その中でも、ただオーガニックであるということではなく、マクロビ仕様やヴィーガン仕様として商品を売り出すことで、市場に受け入れられました。
アジア市場では、中国への参入を当初想定していましたが、長野県産品が全て輸出禁止となっているため、シンガポール、香港、台湾、タイ、ベトナム、ミャンマーに少量を輸出しています。
3 食品展出展について
■これまで海外の食品展に出て得られた成果があれば教えてください。
「クレアがタイ・バンコクのパラゴンで実施した食品展では、別の催事に参加した際に知り合った現地のディストリビューターに商談会をセットしてもらえました。
同じくロサンゼルスでの食品展では、会場となったミツワマーケットプレイス(アメリカ本土に広く展開している日系スーパーマーケット)に現在も商品を置いてもらうことができています。これまで参加した食品展では、常に商品を店舗に置いてもらえるなどの効果が出ました。」
4 今後の展望と課題
■今後の展望と課題についてお聞かせください。
「あまりPRにお金はかけられませんが、ゆっくり販路を拡大させていきたいと思っています。
弊社が想定している諸外国における味噌のイメージは「昔の日本における洋食」です。日本において、かつて高級品だったイタリアンなどの洋食が、現在は一般的な家庭の食事として定着しています。
現在、海外で味噌はお金持ちが使う調味料というイメージをもたれています。将来的には日常の調味料として海外の食卓に浸透してくよう、生味噌そのものの認知度向上にも取り組んでいきたいです。」
同社のインスタグラム。味噌を使用したおいしそうな料理の写真が並ぶ。
■海外展開を考えている事業者の皆さんへアドバイスはありますか。
「海外営業も国内営業と同じで、確率を上げるしかありません。そのためには低コストで確率を上げることが大切です。海外だから経費がかさむと言われることもありますが、どのように効率をあげて、その問題をクリアしていくかが大切です。」
株式会社マルモ青木味噌醤油醸造場
インスタグラム
(経済交流課 吉岡・大宮)