事例紹介

日本の食を世界へ!令和3年度「日本ふるさと名産食品展in ニューヨーク」を開催しました!

<日本ふるさと名産食品展とは?>

 自治体国際化協会(クレア)では、地域産食品の海外展開支援に取り組む自治体に対し、地元事業者へのテストマーケティングと販路開拓の機会を提供することを目的として、毎年「日本ふるさと名産食品展」を開催しています。

 令和2年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により開催を断念しましたが、令和3年度は本食品展で初めて、世界の情報の発信地であるニューヨークで開催しましたので、開催検討、準備段階から当日の様子に至るまでお伝えします!

 

日本ふるさと名産食品展inニューヨーク 開催概要】

  1. 開催日程      令和4年2月24日(木)~27日(日)(4日間)
  2. 開催場所      米国・ニューヨーク「ジャパンビレッジ」 2階The Loft催事スペース 
  3. 出展者/自治体       19事業者(全64品目)/13自治体
  4. 出展産品      原則として日本国内で製造され、正規の手続きにより輸出入された地域の食品及び飲料品
  5. 販売方式      買取販売
  6. 実施方法      委託実施(運営委託会社:日本食文化振興協会(JFCA))

 

<開催検討>

  • 新型コロナの影響

   令和3年度は、同年4月から本格的な検討を始めました。この時点では、一時期世界最悪の感染状況とまで言われたニューヨークではワクチン接種が進み、状況改善の兆しが見られていたものの、日本では接種対象者がまだ医療従事者や高齢者等一部の人々に限られており、開催予定の2月にどうなっているか先が全く読めない状態でした。クレアが行っている食品展は日本から出展事業者が全員渡航し、自身で販売を行うことを参加要件としていましたが、今回は米国入国後及び日本帰国後の厳しい隔離措置を考慮し、現地代理人又は販売員による販売も認めることとしました。加えて、クレア職員も日本から渡航できない状況を想定し、在米の運営委託事業者とクレアニューヨーク事務所職員のみで運営する体制の検討を進めました。また、集客の面やアンケートで重要な役割を果たす試食について、米国の他のスーパーマーケットでも再開されたことから、カバーを被せるなど衛生対策をしっかり施すこととした上で、6月中旬にようやく各自治体を通して出展事業者の募集を開始することができました。

 

<開催準備>

  • 募集開始~出展事業者決定

   当初、新型コロナの影響により十分な数の出展事業者が集まらない事態も想定していたものの、蓋を開けてみれば期待した数の倍近い申込をいただきました。応募数が多かった要因としては、米国でも西海岸で行われる食品関連イベントは多いものの、東海岸は地理的要因、マーケットの違いなどの理由により同種のイベントが少なかったこと、コロナ禍で他のイベントが軒並み中止になっていたこと、事業者自身の渡航必須という応募要件を緩和したことが考えられます。

   出展事業者の選定については、ニューヨークで実際に売れそうなもの、地域バランス等を考慮することに加え、この頃アジアから北米への輸送量が急増し、大幅な輸送遅延が問題となっており、輸出スケジュールの遅延が想定されたため、食品輸入規制に抵触する可能性が低い商品を中心に選定しました。また、予約の取れやすいコンテナを利用するなど、できる限り物流網の混乱による影響を回避することを試みました。

 

  • 運営準備

   その後もデルタ株、そしてオミクロン株と感染力の強い新たな種類の新型コロナの発生と蔓延により、日米両国において、出入国やワクチン接種、マスク着用義務等に係る規制が朝令暮改のごとく変わりましたが、運営委託事業者と連絡を密に取り合い、都度協議をしました。また、10月、1月とオンラインで説明会を開催し、出展自治体・事業者の方々へ情報提供を行いました。

   物流の混雑の影響を受けたものの、最終的には開催約2週間前に試供サンプルを含めた出展品が会場に到着しました。また、12月、1月と猛威を振るったオミクロン株も、幸い2月に入った頃にはニューヨークでは落ち着き始め、クレア職員も日本からは担当者1名が渡航し、在米職員と共に運営に当たることにしました。

 

  • イベント広報

   開催が確定したのは開催まで1か月を切った時期で、ようやくその段階で運営委託事業者及び会場のジャパンビレッジのウェブサイトやSNSにおいてイベントの告知を開始することができました。本食品展特設ウェブサイト上では、商品画像・動画、商品説明文を掲載するとともに、出展各社のウェブサイトにアクセスできるようリンクを貼りました。

   また、運営委託事業者がポスターを作成し、食品展開催期間前から会場内及びマンハッタン地区のサンライズマート(ジャパンビバレッジの運営会社)全3店舗で掲示することにより、イベントの周知を図りました。ポスターの画像データは、地元メディアにも送付し、紙面に掲載してもらいました。

 

委託事業者ウェブサイト

 

 

委託事業者SNS

 

会場ポスター

 

 

 

<開催本番>

  • 開催当日

   開催前日に会場設営他の事前準備を行い、2月24日(木)に食品展開催初日を迎えました。ブルックリンに所在する大型の日系商業施設である会場のジャパンビレッジは、1階に日本食スーパー、レストラン、フードコート等が入っており、2階では今回の食品展開催期間に合わせて、テナントの大手日系古本屋、100円均一ショップ(米国店舗では$1.99~)がグランドオープンしたことも相まって、平日にもかかわらず多くのお客さんが詰めかけました!

   客層は一部日本人や日系人と思しき方々もいたものの、来場者の殆どは様々な人種、年代で構成されるローカルのニューヨーカーであった印象です。

ジャパンビレッジ外観

 


来場者で賑わう会場の様子

 

  • 集客イベント

   集客のため、会場ではスタンプラリーと抽選イベントも実施しました。来場者にはスタンプラリー台紙を配付し、各出展事業者のブースで試食・試飲した際にスタッフがスタンプを押し、6つ集めると抽選コーナーで商品サンプルや自治体ノベルティグッズ等の景品が当たる仕組みになっています。スタンプラリー台紙の裏面にはアンケートの設問(人種、年齢、性別、どこでこのイベントを知ったか、試食・試飲した商品とその評価(味、値段、量、パッケージ、この商品を購入したいか)等)を印刷し、食品展への集客を図ると同時に来場客の意見を収集し、後日各出展事業者にフィードバックを行いました。

   また、事前に現地の折り紙スタジオに依頼し、26日(土)には、巨大折り紙パフォーマンスと折り紙教室を開催しました。週末は家族連れが多かったため、多くの子どもたちが興味津々で参加していました。

 


巨大折り紙パフォーマンス

 

折り紙体験ブース

 

折り紙体験する来場者

 

  • 自治体観光・物産PR

   出展自治体には事前に観光・物産の英語パンフレットを送付してもらい、日本政府観光局(JNTO)と共同で設けたブースで配付しました。基本的に来場者は買い物のついでに通りかかるのでブース前で立ち止まってくれる方の割合はそれほど多くはなかったものの、「いつ日本に入国できるようになるのか?」、「どこの都市がおすすめか?」と質問されることもあり、クレア職員及びJNTO職員が立ち止まってくれた人々に出展自治体をPRしました!

 

自治体パンフレット(英語版)

 

パンフを手に取る来場客

 

クレアスタッフによる説明

 

  • 開催結果

 会場側の発表によると、食品展開催期間中(2月24日~27日の4日間)にスーパーマーケットやテナントを含むジャパンビレッジを訪れた来場者総数は3万人を超えており、本食品展会場にも多くのお客様にご来場いただきました。4日間全体の対総仕入消化率は77.4%と8割程度の商品が売れ、ゼリーやシフォンケーキの甘味を中心に3分の1近くの商品が売り切れとなりました。

 

<おわりに>

 今回の食品展は、新型コロナの影響により幾度も開催が危ぶまれたものの、無事大きなトラブルなく終えることができました。既にいくつかの出展事業者からは、今回の出展商品が継続取引につながったという嬉しいご報告もいただいています。

   クレアでは、昨年度と同じく今年度もニューヨークで食品展開催を予定していますので、ぜひ参加をご検討ください。皆様からの沢山のご応募をお待ちしています!

 

 

(現ニューヨーク事務所 所長補佐 森下(元経済交流課主査))

 

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