事例紹介

高知県が武器にする外国人への訴求ポイント、それは「お節介」という人柄だ!

高知県庁には、「おもてなし課」がある。民間では「高知おせっかい協会」という団体が、2014年に立ち上がっており、その参加メンバーは「オセッカイスト」と言う。高知県では、人柄の良さを武器に外国人の受け入れにも力を入れる。果たしてどんな活動をしているのだろうか。

赤いベストがおせっかい協会のユニフォーム

赤いベストがおせっかい協会のユニフォーム

ポイント:

・高知人気質を観光にいかす取り組みをする
・日本初の「おもてなし課」が受入整備の促進を担う

■高知の人はお節介!?

「高知は、お節介な人柄が強み。」
そう言い切るのは、市内で「高知おせっかい協会」を立ち上げたメンバーの一人、町田美紀さんだ。

例えば、外国人旅行者にも人気のひろめ市場での様子を紹介しよう。ここは、約60店舗が軒を連ねる屋内施設だ。
「ここには高知人気質が溢れています。椅子とテーブルが並んだフードコートがあって、もしもここで一人で食事をしていたら、知らない人が声をかけてくれます。決して一人ぼっちにはさせないのでしょうね。」と、町田さんは話す。

ところで、このひろめ市場は「お城下広場」や「龍馬通り」といった7ブロックで構成されており,鮮魚店や精肉店、雑貨・洋服屋、飲食店など、個性的なお店が集まっている。最近では外国人旅行者も立ち寄る人気スポットになっており、団体バスもコースに組み込むほどだ。そのため施設では、多言語のフロア案内のチラシを作成している。

町田さんは「高知にまで来る外国の人は、日常の文化や生活を見たいと思っています。それをサポートできる活動をしていきたい。」と語った。

 

■高知おせっかい協会の活動とは…

高知おせっかい協会では、高知市内の飲食店や小売店に呼びかけ、商品表示の英訳を原則無料で行い、協会のロゴマーク入りステッカーを協力店に配った。また参加店のポイントが入るマップを作成し、外国人観光客に配布した。
ちなみに、この協会のロゴマークは、漫画家の村岡マサヒロさんがデザインした「おせっ貝」で、「おせっかい文化」を高知から世界へ広めていく決意が込められているそうだ。
さらに外国人向け体験ツアーも2016年の2月に実施した。これは、カツオのわら焼きや着物での街歩きを体験するモニターツアーで、参加者からも好評だったそうだ。

また、ここ最近の活動で力を入れているのが、大型客船で訪れる外国人に対し、街中でサポートすることである。

2015年度には3隻のクルーズ船が高知県を訪れた。その1つは、4月に訪れた欧米人の世界一周のツアーであり、あとの2つは10月に訪れた上海から中国人を乗せたツアーだ。

これらのツアーでは、下船後、オプショナルツアーに参加する観光客と、自由に市街地を散策したい観光客の二手に分かれる。後者の場合は県が無料のシャトルバスを準備して、街中へ送り、帰りの集合時間を決めておいて、あとは自由に中心部を歩いてもらうのだ。

そこで、登場するのが、街中ボランティアたちのグループだ。高知おせっかい協会は、そのボランティアを務める団体の1つで、お揃いのジャケットを着て、困っていそうな外国人を見つけたら声をかける。

地図を見ながら場所の説明をするボランティアガイド

地図を見ながら場所の説明をするボランティアガイド

この活動には、毎回、15名程度が出動する。高校生から年配の方まで幅が広い。高校の英語の先生から紹介されて参加したケースもあり、実践的な英語の勉強になったようだ。また、小学生とその親が一緒に参加したケースもあった。小学校で習った英語を実際に使うことができ、良い経験になったという。今後の英語の勉強のモチベーションを高めるのにも一役買っていると言えるだろう。

高校生によるボランティアガイドチームが外国人を呼び込む

高校生によるボランティアガイドチームが外国人を呼び込む

 

■お節介心の象徴、高知県庁おもてなし課!

ところで、クルーズ船の寄港についての情報は、高知県庁「おもてなし課」が、高知おせっかい協会になげている。

この高知県庁のおもてなし課とは、2007年に誕生した課であり、その後、小説や映画になるなど話題になった。まさに高知県のお節介心が象徴されている。現在は以下を目的に取り組んでいる。

・観光客をおもてなしの心で迎える県民運動の推進に関すること。
・観光地の美化に関すること。
・観光ガイドに関すること。
・観光特使に関すること。
・観光関係の表彰に関すること。
・観光案内板及び誘導標識等の整備に関すること。
・国際観光の推進に関すること。(2016年度に新しく加わった)

また、同県庁国際交流課に所属する、中国人、韓国人、アメリカ人の3名の国際交流員(※1)とも連携しながら、高知おせっかい協会が行う語学研修のサポートもしている。

※1 一般財団法人自治体国際化協会が実施するJETプログラムによって派遣された外国人青年。主に地方公共団体の国際交流担当部局等に配属され、国際交流活動に従事する。
http://jetprogramme.org/ja/

この国際交流員が監修する語学研修は、中心部のはりまやの商店街に近い学生交流館を拠点に行われている。参加者には、商店街の方々もいて、特に、判子屋や文房具屋など、外国人が多く立ち寄る店の方は、積極的に参加しているという。

おせっかい協会の町田さんは、これらの活動状況について、県庁おもてなし課と情報交換を行っており、「おもてなし課は非常に心強い存在だ」と語っている。

商店街に臨時観光案内所を設け、ボランティアガイドが詰めている

商店街に臨時観光案内所を設け、ボランティアガイドが詰めている

 

■今後の展望について

しかしながら、このように観光客の満足度の向上へ向けた取り組みは進んでいるが、観光コンテンツの訴求力が弱いと言われていて、県としてもそれを課題としている。

デービッド・アトキンソン(※2)も、著書「新・観光立国論」の中で、「おもてなしの心はあったほうが良いが、これを目的にわざわざ海外からやって来ない。」と指摘している。

※2:小西美術工藝社代表取締役社長。元ゴールドマン・サックス証券アナリスト。政府にも観光戦略を助言している。

とすれば、やはり、自然や文化などの観光コンテンツが重要だと言えるだろう。
高知県には、四万十川、クジラウォッチング、坂本龍馬関連、お遍路などなど、魅力は十分に揃っている。お節介な人柄と観光コンテンツとが、両輪としてうまく機能すれば、インバウンド獲得のための強力な武器になるだろう。

高知県が打ち出す次の一手に期待が高まる。

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/

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