事例紹介

三遠南信の広域連携でマレーシアにおける農産物の販路開拓にチャレンジ!

 豊橋市は、同じ愛知県の田原市、静岡県浜松市、長野県飯田市とともに、2017年初めての取組となる、三遠南信(愛知県東部の東三河地域を「三」、静岡県西部の遠州地域を「遠」、長野県南部の南信州地域を「南信」とした、3県の県境にまたがる地域。)の広域連携による、マレーシアにおける農産物の販路開拓にチャレンジしました。

 

2017年11月現地スーパーにおける試食販売の様子

(2017年11月現地スーパーにおける試食販売の様子)

 

■広域連携の狙い

現地スーパーに設置した三遠南信農産物コーナー

(現地スーパーに設置した三遠南信農産物コーナー)

 国内の需要が先細る中、国は2019年に農林水産物・食品の輸出額1兆円の達成を目指しています。海外では日本産の農産物は安全、安心で人気が高いことを追い風に、各産地ではそれぞれの強みを活かした農産物の輸出に個別に取り組んでいます。
 しかし、一つの産地だけでは提案、販売できる農産物の品目、期間は限られるのが現状です。輸出先では日本産の農産物同士が価格競争に陥るケースもあります。また、各産地の予算や人的資源には限りもあり、販売促進(フェアや試食プロモーション等)が単発にとどまり、訴求力に欠ける課題もあります。
 これらの課題を改善、解決するため2017年よりマレーシア向けに豊橋市、田原市、浜松市、飯田市の4市が連携して「三遠南信連携農産物輸出事業」の取組を始めました。
 2016年市町村別農業産出額(農林水産省)では、1位は田原市、7位は浜松市、9位は豊橋市であり、全国でもトップレベルの農業地域と言えます。また、飯田市では、りんごや市田柿といった太平洋沿岸にはない特色ある農産物を生産しています。
4市が連携することで、通年で幅広い農産物の提案、販売ができる可能性があるとの考えから、マレーシアにおける農産物の販路開拓に取り組むことになりました。

 

 

■取組の内容

バイヤー招聘時の次郎柿選果場見学

(バイヤー招聘時の次郎柿選果場見学)

 マレーシアを輸出対象国に選んだのは、日本食材がある程度浸透しており、日系百貨店以外の現地スーパーでも今後の日本産農産物の取扱いの増加が期待され、4市が共通して取り組むことのできる有望市場と判断したからです。
 また、2017年から豊橋市職員が日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所に研修派遣され、現地情報の収集やフォローアップをしやすい環境も要因の一つでした。
 試食販売は現地スーパー5店舗で9月と11月の2回実施(各2週間)しました。
 梨(豊橋市・飯田市)、次郎柿(豊橋市・浜松市)、メロン(浜松市)、シャインマスカット(飯田市)、大葉(田原市)、ラディッシュ(豊橋市)、エディブルフラワー(豊橋市)、ミニトマト(豊橋市・田原市)、セルリー(田原市)など4市の幅広い農産物を試食販売しました。2回の試食販売を通じて現地の嗜好、売れる品目や受け入れやすいプライスゾーンなど、様々な情報を得ることが出来ました。
 また、10月には現地スーパーと輸入業者のバイヤーを産地に招聘し、農場や選果場の見学と農産物の試食、JAや経済連、生産者との意見交換を通じて、4市農産物の特徴や産地の理解醸成に努めました。

 

 

■評価と課題そして今後の展開

 今回の取組に対して、輸出入業者や現地スーパーからは、広域連携により窓口が一本化され(品目の提案と選定)、エア便にて荷物を一定量まとめて輸送でき(スケールメリット)、販売(訴求力の強化)しやすくなる点にメリットがあるとの評価を頂きました。
 課題としては、三遠南信ブランドの確立や、鮮度保持技術を活用した船便輸送実現による、輸送コストの低減があります。
 4市ではマレーシア以外の国でもそれぞれ農産物輸出に取り組んでいます。今後は各市の持つ情報やネットワークの更なる共有を図りつつ、JA、経済連、生産者を巻き込み、現地ニーズや通年販売に応えられる体制と仕組みの整備を目指します。 
 また、広域連携の輪を広げ、産地、現地の双方にとってメリットのある事業を展開していきたいと考えています。

 

(豊橋市農業企画課 白藤謙一)

 

 

※当事業は自治体国際化協会の平成29年度経済活動助成事業を活用して実施しています。

 

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