事例紹介

地域の国際化に向けた小さな一歩、観光やまちづくりを大阪の留学生がサポート!

大阪観光大学の留学生たちが、地域貢献につながる活動をして、インバウンドを盛り上げようとしている。その活動をコンテストで発表し、表彰された。その情報が広がり、さらに地域からの問い合わせが増えているという。留学生が取り組むインバウンドにつながる活動を報告する。

留学生が関空拠点のLCC、ピーチアビエーションの企業訪問を行った

留学生が関空拠点のLCC、ピーチアビエーションの企業訪問を行った

ポイント

・留学生と地域をつなげ、外国人目線を積極的に取り入れる
・地域活動の成果をコンテストで発表し、大学と地域とのより良い関係を構築

 

■地域との関わりを積極的に進める大学と留学生

大阪の泉州地域(※1)にある大阪観光大学の百武仁志ゼミでは、観光経営を中心に研究していて、留学生が多く集まり、現在では全員が留学生である。留学生の出身地は中国からが24人で、残り5人がベトナムやモンゴルからだ。

※1:泉州地域とは、堺市や岸和田市等、大阪市よりも南部にある大阪府内のエリアの総称のこと。

その留学生たちが地域に積極的に出て、地元と一緒に活動しているという。そのことをSNSにアップすることで、中国やベトナムなどへ地域の魅力が伝わっているのだ。
さらにその成果をまとめて、コンテスト等に参加して入選にも至った。

その一つが、「大学生観光まちづくりコンテスト(※2)」だ。

※2:大学生観光まちづくりコンテスト協議会主催、JTBグループ運営、観光庁後援

百武ゼミの「ベトナムチーム」は大阪ステージにエントリーし、大阪府庁の咲洲ホールで開催された2016年9月の本選に出場した。
テーマは、「ベトナム人観光客に人気の日本酒に着目し、ベトナム人の口に合ったスパークリング(炭酸入り)日本酒を開発・販売する」という趣旨で、地元の酒蔵メーカーと連携して取り組んだ企画だ。そして、審査の結果「クリエイティブ賞」を受賞したのだ。

ベトナム向けのお酒づくりのプレゼンで受賞したメンバー

ベトナム向けのお酒づくりのプレゼンで受賞したメンバー

また、他にも、関西観光教育コンソーシアム主催で、「学生活動成果発表会」が毎年秋に開催されていて、2016年9月、百武ゼミ所属の中国チームが、奨励賞を受賞した。
泉州地域のインバウンドの観光客誘致をテーマに、関西空港での乗り継ぎや帰国前の時間に立ち寄ってもらう施策を提案した。関空のある泉佐野市と連携して、地域でのフィールドワークを経ての発表だった。

百武ゼミの留学生たちは、座学よりも実践の勉強を好み、地域とつながることに前向きだ。地元自治体は、外国人目線を期待し、学生サイドは留学生として貢献できることに喜びがある。百武講師は、双方のニーズをゼミの活動を通してマッチングさせたいと意欲的だ。

■地域の伝統のお祭り「だんじり」に留学生が関わる

現在、地域との関わりで大きな柱となりそうなのが、地元の祭り、「だんじり」だ。
岸和田をはじめ、泉州地域では伝統として激しい「だんじり」が毎年秋に開催されている。

留学生は、岸和田での9月の「だんじり祭」やキャンパスがある熊取町での10月の「熊取だんじり祭」に、清掃ボランティアとしても参加している。
また、岸和田市国際親善協会が行っている「だんじりインフォメーションセンター」で、通訳と記念撮影をするスタッフとしても参加していた。

熊取だんじり祭りに清掃ボランティアとして参加して町長と握手

熊取だんじり祭りに清掃ボランティアとして参加して、町長と握手を交わした

留学生たちが、至近距離で見られ迫力あるだんじりの様子をWechat(※3)を使って画像や映像で発信したところ、瞬く間に中国に広まっていったという。中国現地の友人たちが素早いコメントを返し、さらにシェアをしてくれたのだ。

※3:中国のSNSでLINE(ライン)のような機能を持つアプリケーション

まさに留学生による草の根プロモーションである。だんじりを知ってもらい、さらにだんじり目的に泉州地域に来日する可能性もあるのだ。

百武ゼミでは、このような留学生の活動をブログ等で情報発信していることで、地元の町づくりに関わっている人々からの問い合わせが増えているそうだ。地域との関わりが太くなりつつある。
大学や留学生も地域に貢献したいと考えていると、百武講師は言う。

また、地域との「信頼関係」が強くなった結果として、だんじりに、裏方としての参加以外に、泉佐野市の地域の青年団より本番での参加オファーが2016年の初夏にあった。結果的には、都合により祭り本番への参加は見送られたが、留学生が練習に参加できたことは、大きな前進だと百武講師は語る。

だんじり祭りの練習に留学生としてはじめて参加した

だんじり祭りの練習に留学生としてはじめて参加した

大学を巻き込んだ地域のインバウンドの新しいスキームが、今後、全国で生まれてくるかもしれない。まずは、地元の大学に地域振興がテーマのゼミがないか、大学に確認してみてはいかがだろう。留学生との新しい連携が生まれるかもしれない。

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/

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